業務用エアコンの室外機をスムーズに設置・接続する極意

「室外機を設置しようと思ったけれど、カバーや配管、配線がうまく収まらない…」そんな経験はありませんか?

実は、業務用エアコンの室外機設置は少しのコツを知るだけで、見た目も機能性も格段にアップします。

今回は、プロが現場で使うノウハウを整理し、初心者でも再現しやすい形で解説します。これを読めば、室外機の設置・接続の悩みから卒業できるはずです。

ジニー
エアコン職人歴15年超のジニーです。エアコン取り付け方法をより深く理解したい方や、プロとしての技術をさらに高めたい方にとって、必ず役立つ情報が満載です。どうぞ最後までお付き合いください。

【動画で解説】業務用エアコンの室外機をスムーズに設置・接続する極意Live

室外機設置のポイント

1. 計画的な据え付けが失敗を防ぐ

業務用エアコンの室外機設置前の配管ルート確認

業務用エアコン室外機を設置する際は、事前に配管・配線ルートを計画し、乗せる位置を正確に決めることが成功の鍵です。

なぜなら、無計画に室外機を置くと、配管カバーがはまらなかったり、電線が引っかかったりしてスムーズに作業が進まなくなります。

さらに、アンカー(※1)を地面に打ち込むタイプの場合、ズレがあると重い室外機を何度も持ち上げ直す羽目になります。

(※1 アンカー:コンクリートなどの基礎に打ち込んで機器を固定する金属部品)

たとえば、室外機を後方から配管する計画なら、あらかじめ後ろ側のカバーや下部パネルを外し、配線や断熱材(※2)がスムーズに通せるようにしておきます。これにより、重い室外機をストレスなく所定位置へスライドでき、見た目も綺麗に仕上がります。

(※2 断熱材:配管に巻くことで熱を逃しにくくし、空調効率を高める素材)

結局、最初の計画が綿密だと、後戻り作業や配管のやり直しを防ぎ、短時間で美しい仕上がりを手に入れられるのです。

2. カバーと配管位置を先に確認する

今回は、室外機のキワまでカバーを付ける現場だったので、そういった場合は特に配管や電線がカバーに当たらないよう、先にカバーを仮当てして配管・断熱材との干渉をチェックすることが重要です。

その理由は、室外機を据え付けた後にカバーが当たってしまうと、配管を再調整する手間が発生します。特に、断熱材が鉄板に押し付けられると、振動で年数経過とともに断熱材が切れたり、配管に穴が開くリスクがあります。

後ろカバーを一旦合わせてみて、配管や電線がぶつからない位置を確保してから、本締めを行います。もし当たりそうなら、配管を少しずらしたり、カバーを加工して余裕を持たせると、後々のトラブルを回避できます。

今回のように室外機ギリギリまでカバーを付ける場合は、カバーとの干渉を事前チェックすることで、長期的なトラブル(断熱材損傷・ガス漏れ)を防ぎ、安心して使える設置環境を作れます。

3. フレア加工と配管接続は丁寧に

フレア加工(※3)やナット締めは、正確な長さ合わせとゆがみのない接続が大切です。

(※3 フレア加工:配管の端をラッパ状に広げ、接続部品と密着させる作業)

雑な加工や不適切な締め付けをすると、冷媒ガスの漏れや能力低下につながります。
また、バリ(配管切断時に出る鋭い残りカス)を処理する際も、角度や姿勢を工夫しないと内部に破片が入りトラブルの元になるので、必ずカスが中に入らないように注意して行いましょう。

普段は確実にバリは取るようにしていますが、↑の画像のように、縦方向の配管接続では、あえてバリ取りをせずフレアを行う手法もあります(落下するバリが内部に入らないための工夫)。

その際にできるだけ綺麗なフレアを作るためにも「片刃タイプ」のパイプカッターがおすすめです。

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フレアナットを締める前に、配管をまっすぐ整えトルクレンチで適正値まで締め付けると、確実で美しい仕上がりになります。

つまり、フレア加工からナット締めまでを丁寧に行うことで、ガス漏れを防ぎ、エアコンの性能を最大限発揮できるのです。

4. 結露対策やコーキングで長持ちさせる

断熱材にコーキング処理

エアコン設置後は、断熱材と配管部へのコーキング(※4)や結露対策をしっかり施します。

ジニー
ジニーの場合、業務用は室外機の接続から大体70mm程カットして接続しているので、そこから結露した水が入らないようにしっかりとコーキング処理を施します。

結露水が断熱材内部に溜まると、長期間で断熱性能が落ち、最悪の場合配管腐食につながります。また、適切なコーキングで雨水侵入を防ぐと、室外機まわりを清潔かつ安全に保てます。

(※4 コーキング:すき間を埋めるための防水・防湿用の充填剤)

フレアナット部分から70mmほど断熱材をカットしてコーキングをしやすくしたり、インシュロック(※5)で断熱材を固定してから防水材を塗ると、内部への水分侵入を防ぎやすくなります。

(※5 インシュロック:結束バンドのこと。配管や電線をまとめるのに便利)

結局、結露や水分対策を行えば、エアコンの寿命を延ばし、メンテナンスや将来の入れ替えも楽になり、長く快適に使い続けられます。

5. 耐圧テストと試運転で最終確認

耐圧テスト

設置後は、試運転と耐圧・真空引き(※6)チェックを行い、漏れや不具合がないか確かめることが不可欠です。

業務用エアコンの場合、きちんと耐圧テストや真空引きを行わないと、ガス漏れや冷房効果低下に気づかず、後々トラブルになる可能性があります。(業務用エアコンの場合は耐圧テストも必須なケースも多いです)

(※6 真空引き:配管内の空気や水分を抜き、冷媒ガスが効率的に働くようにする作業)

設置後に圧力計(ゲージ)で窒素耐圧チェックを行い、時間をおいて針が下がらないか確認します。下がっていなければ問題なしです。

業務用エアコンの真空引き

最後に真空ポンプで内部を真空状態にして冷媒ガスを開放し、試運転で冷え具合と排水を確認すれば完成です。

最終確認と試運転で不具合ゼロが確認できれば、室外機の設置は完了です!

業務用エアコンの室外機をスムーズに設置・接続する極意まとめ

業務用のエアコン室外機の設置は、

  • 計画的な据え付け
  • カバー干渉対策
  • 丁寧なフレア接続
  • 結露対策
  • 試運転確認

といったステップを踏めば、決して難しくありません。

これらの手順を押さえておけば、外観も美しく、性能も安定した室外機設置が実現できるでしょう。ぜひ自分の現場で試してみてください。

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ジニージニーエアコンチャンネル代表/ Ginny Aircon School学長
エアコン職人歴15年以上。22歳から空調業界へ飛び込み、アルバイトから会社経営まで様々な経験を積む。Youtube「ジニーエアコンチャンネル」の登録者2.35万人。 現在は空調業界のプロフェッショナルとして、ルームエアコンや業務用エアコンの設置、そしてエアコン完全分解洗浄といった専門的な技術を幅広く指導する「Ginny Aircon School」を開校。実践に役立つ空調技術を学べる場として、200名以上の受講者に支持されています。