左直配管「かけ繋ぎ」のコツ!エアコン室内機の確実な取り付け方法

左直配管「掛け繋ぎ」のコツ!エアコン室内機の確実な取り付け方法の画像

エアコン取り付けの中でも、左直配管での「かけ繋ぎ」多くの施工者が苦手としている作業のひとつです。特に室内機を先に取り付けてから配管を接続する「掛け繋ぎ」は、作業スペースが限られている環境では避けて通れない技術。

しかし、この工法には作業スペースが狭い場所でも施工できる高所での危険作業を減らせる室内機を持ち上げる工程が最小限で済むため疲労が軽減されるなど、多くのメリットがあります。

この記事では、プロの施工テクニックを惜しみなく公開し、左直配管での掛け繋ぎを誰でも確実に行える方法を解説します。エアコン取り付けの現場で即実践できるコツが満載です!

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掛け繋ぎは難しいと思われがちですが、正しい手順と準備をすれば誰でも簡単にできるようになります。この技術を身につければ、様々な現場での施工の幅が広がりますよ!!

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【動画で見る】エアコン取り付け方法 左直配管 掛け繋ぎ

左直配管の掛け繋ぎとは?

左直配管の掛け繋ぎとは、エアコン室内機を先に背板に掛けた後、配管を接続する工法です。通常は配管を先に繋いでから室内機を取り付ける「繋ぎ掛け」が一般的ですが、掛け繋ぎには以下のような大きなメリットがあります:

  • 作業スペースが狭い場所でも施工が可能
  • 室内作業が中心となるため、高所での危険作業を大幅に減らせる
  • 室内機を持ち上げる工程が最小限で済むため、体への負担が少なく疲労を軽減できる

特に高所作業や雨天時の施工では、このメリットが一層際立ちます。適切な準備と手順を踏むことで、狭いスペースでも確実に配管接続ができるようになります。

使用工具と準備物

  • スケール(メジャー)
  • ドライバー
  • モンキーレンチ
  • トルクレンチ
  • カッター
  • フレアツール(BBK製がおすすめ)
  • エアコン取付けホルダー
  • 断熱材用テープ
  • ニッパー
  • ボードアンカー、傘式アンカー
  • インパクトドライバー

特にこの作業でおすすめなのが、「エアコン取付けホルダー」です。これを使うことで室内機がずり落ちる心配なく安定して保持でき、両手を使って作業に集中することができます。G.A.Sメンバーの方から教えてもらった道具で、掛け繋ぎ作業の効率を格段に上げてくれます。

エアコン取り付け前の準備作業

室内機の準備

  1. まず背板を外し、付属品や保証書関係を取り出します。
  2. リモコンに電池をセットする。
  3. 室内機のサイドカバーを必ず両側とも外す。
    • サイドカバーを外すことで作業性が格段に向上するので、外せるタイプは外しておく
    • 特に三菱エアコンは爪を引っ掛けて引っ張るタイプなので、クロスに傷をつけないよう注意。
  4. ドレンホースの入替え
    • 標準では右側から出ているので、左側に付け替える。
    • ドレンキャップは必ず奥までしっかり差し込む
    • 差し込みが甘いと水漏れの原因になります。

補助配管の準備

三菱エアコンなどの室内機の背面のスペースが広いタイプでは、以下の向きに配管をセットするのがポイントです。

  • 3分配管(ガス側)を上に配置
  • 2分配管(液側)を下に配置

この配置にすることで、以下のメリットがあります

  • 3分配管のRの曲げがきつくなりすぎない
  • 下側に2分配管を持ってくることでドレンホースのスペースが確保しやすくなる
  • 配管接続時の作業性が向上する

また、配管の接続ナットの角度は真っ直ぐにしておくことが重要です。特に3分側は真っ直ぐな状態を維持することで、後の接続作業がスムーズになります。

背板取り付けの正確な手順

位置決めの重要性

左直の場合は、補助配管の接続の位置を背板にケガいていきます。背板に元々記載されているタイプもありますが、個体差などでズレていることもあるので、僕の場合は毎回接続位置を出すようにしています。

電線とアースの接続

次に室内機に電線とアース線(IV線)を接続していきます。先にアース線から接続した方が作業はやりやすいです。アースを接続するときは、上記の画像のように先端を短く曲げてから繋げると作業しやすいです。

電源線は、色を間違えないように注意して、奥までしっかりと差し込みます。

背板の位置の決め方

背板を取り付ける前に、以下の点をしっかり確認します:

  1. 天井からスリーブ下端までの高さ(今回の場合:330mm
  2. エアコンの高さ(例:三菱エアコンで約300mm
  3. カーテンレールなど障害物との距離(今回は窓枠から50mm以上確保)

これらの測定結果から、適切な背板の位置を決定します。

今回の例では

  • スリーブの下端から約10mm下げて背板を設置(普段より5mm下げ)
  • これにより、エアコン上部と天井との間のスペースを確保
  • 窓枠からは十分な距離(約80mm)を確保

左右位置の決定方法

穴中心までの位置を決める(今回は100mm)
エアコン左端までの位置を測る(今回の場合161mm)

高さが決まったので、次は左右の位置を決めていきます。

  1. スリーブセンターを基準に位置を決める
  2. スケールを使って161mmの位置を基準にエアコン左端を決定
  3. スリーブが完全に隠れる位置であることを確認
  4. 入れ墨側(壁側)にスペースを確保してメンテナンス性を向上

水平・垂直の確認

  1. 真ん中を仮止めして水平器を使用して正確に水平を確保
  2. 天井からの距離も再確認し、見た目のバランスも考慮
  3. 真ん中に1本仮止めしてから水平を微調整
  4. 左右2本のビスで固定したら、他のアンカー位置も決定

水平が取れていても天井が傾いている場合は、見た目でエアコンが傾いて見える可能性があります。このような場合は、お客様にその旨を説明しておくことが大切です。

室内機配管接続のテクニック

配管準備の重要ポイント

  1. 配管端部の養生
    • ニッパーで切った配管端部はとがっているため、テープでしっかり養生
    • 何重にも巻いて、外壁や壁紙に傷がつかないように保護
  2. 室内から配管を送り出す方法
    • 無理に押し込まず、スリーブに対して適切な角度で送り出す
    • 「するする入っていく角度」を見つけることが大切
    • 保温材が破れないよう注意しながら慎重に作業
  3. 配管の形状作り(最重要ポイント!)
    • 十分な長さを室内に残しておく
    • 3分と2分の配管の向きを調整(3分が上、2分が下)

配管をあえてギュッと曲げてから戻す技術
これが最大のポイント!スリーブ内の配管を真っ直ぐにするために、一度強めに曲げてから戻すことで理想的な形状ができます

  • 2分と3分の配管を「割る」ことでドレンスペースを確保
  1. 適切なカット位置の決定
    • 配管が真っ直ぐな部分でカットする
    • 断熱材の長さを考慮して適切な位置でカット
    • 年数経過による断熱材の縮みも考慮して少し長めに残す

かけ繋ぎ作業の秘訣

エアコン取付けホルダー
  1. エアコン取付けホルダーの活用
    • 室内機を安定して保持するために利用
    • エアコン取付けホルダー表面のギザギザ部分がかみ合い、安定して支える
  2. 補助配管の引き出し技術
    • 補助配管を室外に引き出し、接続しやすい角度に調整
    • 室内機内で接続するという概念を捨て、作業しやすい位置で接続
  3. 接続時の位置調整
    • 配管が届かない場合は、室内機自体を左右に動かして調整
    • 初めから遊びを持たせておくことで、この調整が可能に
  4. トルクレンチの角度と力の入れ方
    • モンキーレンチの位置は力が入れやすい角度に調整
    • 必要に応じて配管をねじって最適な角度を作る
    • トルクレンチは真っ直ぐな状態で締め付け

断熱材処理のコツ

  1. 継ぎ目の位置は上向きに
    • 結露水が垂れないよう配慮
    • あまり締め付けすぎないことが重要
  2. 押し付け合う形の作成
    • エアコン側と配管側の断熱材をしっかり突き合わせる
    • 継ぎ目が開かないように注意
  3. テープ処理
    • 適切な位置でしっかりテープ処理
    • メーカーによって断熱材の長さが異なるため調整が必要

室内機内部の配線処理

電源線・IVの配線テクニック

  1. 浮かした状態での形作り
    • 室内機を浮かせた状態で、内部の配線形状を整える
    • 最終的に降ろした時に爪がきちんとかかるよう配慮
  2. サイドカバーを外す利点
    • 線の取り回しがしやすくなる
    • 電源線やIVをスムーズに通せる
  3. 線の余裕を持たせる
    • 接続部が引っ張られないよう適度な余裕を持たせる
    • エアコン裏側に隠すように配線することで見た目も美しく
  4. 配線の仕上げ
    • 線をピンと張った状態で奥にカチッと収める
    • 余分な線は下に引っ張って室内機内に収納

仕上げ作業のポイント

  1. サイドカバーの取り付け
    • 壁に傷をつけないよう注意して取り付け
    • 無理な力をかけず丁寧に作業
  2. フィルターの取り付け
    • 今回はフィルターを外していたので、最後にフィルターを取り付けて完了

左直で最も重要なポイント

「するする動く形」の重要性

スクール生向けの動画内でも何度も強調したポイントが、「するする動く形を作る」という概念です。これは室内機を取り付けた際に、配管部分が前後に軽く動く状態を作ることが最も重要です。

配管が前後に動かないと、三菱エアコンの場合は爪がしっかり掛かるので下が浮いたりする問題はありませんが、日立や東芝など爪のかかりが浅いタイプのエアコンでも、このように『するする動く形』を作っておけば、室内機に余計な力がかからない状態になります。

そうすると爪がスパッとかかるようになります。ここまでの作業で『するする動く形』ができていれば、これからの作業が非常に楽になります。

この「するする動く形」にしておくことで、

  • 室内機に余計な荷重がかからない
  • 爪のかかりが浅いエアコンでも安定して取り付けられる
  • 配管の微調整が容易になる

というメリットがあるので、「するする動く形」を意識しましょう。

するする動く形を作るコツは・・・

左直のかけ繋ぎで、一番重要な「するする動く配管」の形状を作る上で最も重要なテクニックがあるのですが、これはジニーエアコンスクール内のコンプリートプラン」「マスタープラン」「ルームエアコンプランなどで公開しているので、気になる形は、ジニーエアコンスクールをぜひチェックしてみてください!

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まとめ:かけ繋ぎを成功させるためのチェックリスト

左直配管のかけ繋ぎを成功させるためには、以下のポイントをしっかり押さえましょう:

  1. 事前準備を万全に
    • サイドカバーを両側とも外しておく
    • ドレンキャップはしっかり奥まで差し込む
    • 3分配管を上、2分配管を下に配置
  2. 背板の取り付け位置を正確に決定
    • 天井・スリーブ・障害物との距離を確認
    • 水平・垂直を正確に出す
  3. 配管の形状作りが最重要
    • スリーブ内の配管を真っ直ぐにする
    • ドレンスペースの確保
    • 「するする動く形」を作る
  4. かけ繋ぎ時の作業効率化
    • エアコン取付けホルダーの活用
    • 補助配管を引き出して接続
    • 力の入れやすい角度でのトルク管理
    • エアコンの中で接続するという概念を捨てる
  5. 配線・仕上げの綺麗な処理
    • 浮かせた状態で内部の形を整える
    • 余分な線は適切に処理

これらのポイントを押さえることで、誰でも確実にかけ繋ぎ作業を完了させることができます。

かけ繋ぎは作業スペースが狭くても施工できる、高所作業を減らせる、室内機の持ち上げ工程を最小限にして疲労を軽減できるなど、多くのメリットがあります。繰り返し練習することで、自然と身についていきますよ!

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ABOUT US
ジニージニーエアコンチャンネル代表/ Ginny Aircon School学長
エアコン職人歴15年以上。22歳から空調業界へ飛び込み、アルバイトから会社経営まで様々な経験を積む。Youtube「ジニーエアコンチャンネル」の登録者2.35万人。 現在は空調業界のプロフェッショナルとして、ルームエアコンや業務用エアコンの設置、そしてエアコン完全分解洗浄といった専門的な技術を幅広く指導する「Ginny Aircon School」を開校。実践に役立つ空調技術を学べる場として、200名以上の受講者に支持されています。