エアコン設置工事において、先行配管(隠ぺい配管)を使用する場合の施工方法について解説します。
特に今回は、既存の40型の2分3分配管に対して2分4分のエアコンを取り付けるという特殊なケースを取り上げます。
配管サイズの変更を伴う工事では注意すべきポイントが多く、メーカー保証の観点からも事前にお客様へ説明が必要な内容を含みます。ここでは、安全かつ確実に作業を進めるための手順と注意点を詳しく解説していきます。

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エアコン先行配管 配管サイズ変更工事とは?
先行配管工事で、配管サイズが変更になる工事の場合、既に壁内に配管が設置されている状態でエアコンを交換していきます。
これを異径接続と呼ぶこともあります。
今回は東芝製の2分3分エアコンから、2分4分のエアコンへの交換作業を行います。配管サイズが異なるため、溶接作業が必要となる特殊なケースです。
東芝(TOSHIBA)の強制冷房の設定方法

まずは既存エアコンのポンプダウンのために強制冷房を行います。
東芝エアコンの場合、自動運転ボタンを10秒間長押しすると「ピッ」という音が鳴り、強制冷房モードに入ります。

ボタンは機種によって異なり、『自動運転』『リセット』と書かれている場合もあります。
(参考)コンプレッサーが作動するまでの目安時間
強制冷房設定後、コンプレッサーが作動するまでには一定の時間がかかります。
この時間はメーカーや外気温によって変動します。
今回はコンプレッサーが作動し始めるまでの時間が、外気温はだいたい8℃くらいで、約2分30秒ほどかかりました。
先行配管のポンプダウン手順とは?

コンプレッサーが作動したら、ナット類を外して液側(高圧側)のバルブを全閉にしてガスを回収します。
本来であれば、回収中にできる作業をやりますが、今回は先行配管で、回収している間に何もやることがないので、そのまま待ちます。
今回は2分30秒ほど待ってガス側(低圧側)を締めたのですが、個人的にはもう少し長く待った方が良かったかもしれないです。
本来はマニホールドゲージを使用してガス圧を見ながら回収することを推奨しています。
1.室内機側の電源とアースを外して室内機を取り外す

ガスの回収が終わったら、室内機の電源を切って強制冷房運転を止めます。今回は移設ではなく入れ替えなので、コンセントを抜いて、アースも抜いておきます。
2.室内機のカバーを外してドレンホースを抜く

今回の東芝のエアコンは、エアコンの右下や左下にあるサイドパネルが開かないタイプのエアコンです。そのため、本体のカバーを全部取り外して、ドレンを抜きます。
ドレン取り外し時の注意点
ドレンホースを抜く際は水漏れに注意が必要です。特に勾配や溜まりがある場合は注意しましょう。
今回のように流れるくらいの勾配がドレンホースについていても、少しでも水が溜まっていると、ドレンを抜いた際に水が一気に漏れることがあります。
3.配管と背板の取り外し

ドレンが抜けたら配管も外していきます。
今回は同じ室外機が複数あったので、もしここで配管を切って、万が一「室外機が違う」などになってしまうと、室内で冷媒ガスが全部噴出してしまいます。
それだけは絶対に避けたいので、念の為にここでは配管を切らずに配管を少し緩めて、合っているか最終確認するといった方法を取っています。

室内機を下ろした後、背板を取り外します。配管は上向きにしておくとオイル漏れを防止できます。配管内部にごみや埃が入らないよう、端部を養生しておくと更に安心です。
新しい室内機の取り付け

新しい室内機の背板を取り付ける際は、配管やドレンホースの位置を考慮して高さや左右の位置を決定します。
今回の先行配管の場合は、前に取り付けられていたエアコンよりもかなり大きくなるので、本体自体が以前についていた跡を十分に隠せるという状況でした。
そのため、次に大切なのはスリーブがしっかり隠れる位置を確認することと、もう一つ注意したいのは、壁の中で断熱ドレンが持ち上がっていないかを確認します。
センターを打ち込み、傾きを確認してからボードアンカーで固定します。
配管サイズ変更の溶接作業
配管サイズ変更の注意点とは?
今回は2分3分から2分4分への変更作業です。これはメーカー保証外となる可能性が高いため、事前にお客様への説明が必要です。
本来であればこの2分のエアコンに2分4分を取り付けるのはメーカー的には認められていないと思います。
そのため、このような場合は事前にお客様にも『これはメーカーからすると認められていない工事です』ということをしっかり伝えてから工事を行います。
断熱材をカットする

配管の溶接前に保温材をカットする際は、適切な長さを残すことが重要です。短すぎると後の断熱処理が困難になり、長すぎると溶接作業がやりにくくなります。
配管接続位置の調整

ここで注意するポイントは、これから溶接する4分の配管の長さを余裕を持たせることです。
3分の配管を切る必要がありますが、この3分と4分の距離が近すぎると、そこからフレアを切った際にナットが入らなくなってしまいます。
なので、4分配管と3分配管の接続では、フレア加工の余裕を持たせた長さ調整が必要です。
火災防止の養生をしっかり行う

溶接作業前に濡れた雑巾などで周囲を十分に養生し、火災防止に努めます。特にビルやテナントでは火災報知器への注意も必要です。
今回のような個人宅なら警報が鳴っても何とかなる事が多いですが、大きな会社やビル、テナントが入っているような施設だと大きな問題になることがあります。
溶接作業のポイント

配管を適切な深さで差し込み(約1〜1.5cm)、ロウが流れる方向に注意して溶接します。
これを入れすぎてしまうと、何か変な音が鳴ったり、接続部付近で異音がすることがあると聞いたことはありますが、僕は実際に経験したことはありません。
なのでここはあまり入れすぎないように心がけています。
溶接時は火の方向に注意!

配管を焼くときは、火が壁紙など周囲を燃やさないように炙る方向や角度に注意しながら、ロウを垂らさないように溶接していきます。
溶接後は十分に冷まし、しっかりと色が変わるまで触らないようにして、色が黒くなって固まったという状態まで冷えるのを待ちます。
ここでしっかり冷やしておかないと本当に結構なヤケドになるので、しっかり冷やしてから断熱材を施します。
室外機側の3分も同様に溶接していきます。溶接の具体的な手順やコツは、こちらの記事でも解説しているので、気になる方はぜひご覧ください。
新しい室内機の配管接続

ここまで来れば、あとは通常の取り付けと同じ手順で、配管を背板に合わせて曲げ、接続ラインに合わせてカット→バリ取り→フレア加工して接続していきます。
バリ取りをする際は、カスが配管の中に入らないよう注意します。
室外機側も同様に3分→4分へ溶接

溶接が終わったら、通常の室外機の接続と同じ流れで設置完了です!
室外機の接続方法については、こちらの記事を参考にしてください。
配管サイズ変更(異径接続)工事まとめ
エアコンの先行配管工事、特に配管サイズを変更する場合の施工手順をご紹介しました。
作業時のチェックポイントをまとめますと、
- 内外機のペアを確実に確認する(複数のエアコンがある場合)
- ポンプダウンを適切に行い、十分な時間を確保する
- 配管の取り外し時は水漏れやオイル漏れに注意
- 配管端部の養生を徹底する
- 背板の位置は既存スリーブやドレン位置を考慮する
- 溶接作業時は火災防止に万全を期す
- 4分配管と3分配管の接続では差し込み量を適切に(1〜1.5cm程度)
- フレア加工前のカット位置に注意する
- 断熱材の接続は継ぎ目を丁寧に処理する
特に配管サイズ変更はメーカー保証外となる可能性が高いため、事前にお客様への説明を忘れないようにしましょう。
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